CRMを活用して抑えるべき数値を考える
CRMシステムの活用方法としては、収集したデータを使い、DMやテレコールなどを実践するなど、販売活動に利用する場面と、もうひとつ、重要な役割が、お客様の傾向や販売状況を把握するために分析する活用方法です。
ここでは、分析したい数値について考えてみたいと思います。
CRMデータを利用して分析する項目を決める
弊社のクライアントを事例に、いくつか分析数値をあげてみます。
統計データなどを利用して
- 市場開拓度
- 都道府県別シェア
- 同業種の商品/サービスとの価格帯比較
お客様データから
- 男女比
- 年齢
- 家族構成
- 保有名簿数(見込み客含む)
- 既購入(ユーザ)データ数
購買履歴から
- 顧客維持率
- 平均購入単価
- 購入頻度(サイクル)
- パレード分析
アンケート内容から
- 顧客満足度
- 購入意欲
- 認知媒体
- 動機(きっかけ)
- 商品/サービスイメージ
- 都道府県別(地域別)
- 障壁(買わない/利用しない理由)
活動内容から
- DM発送数
- TELコール数
- 来店者数
- アンケート回収数
- 来場者数
- カタログ請求数
- 問合せ件数
- 各活動別成約率
- 各活動担当者別実績
アンケートの内容や商品/サービスによって、すべての数値が計測できるわけではないと思いますが、まずどのような数字を捉えたいのか、その数値によって知ることができる内容を検討しつつ分析できるような体制を整えていきましょう。
それらの数値の定義(計算式)を確立する
取るべき数値が決まったら、元になる数字はどの情報を使うのか、複数の要素から計算する必要がある項目であれば、どう計算するかと決めていきます。
例えば、成約率を算出する場合、
・もとになる数値はどれか
-来店者数と成約があがった人を比較する
・何から
-来店者数は、接客数を各担当者がカウント
-成約実績は、CRMの履歴から成約をカウント
・式は
-成約者数÷来店者数
などのように、しっかりと定義書を作成しておきます。
扱う商品やサービス、収集できる情報によって、各社独自の定義があってよいと思います。
大切なのは、自社のできる範囲で、継続して計測できるような値を選ぶこと。
無理な設定は、分析に労力がかかるだけでなく、継続できないことになってしまいます。
定期的に計算結果を保存しておく
こうして求めた数値は、週単位/月単位で分析数値として保持しておくようにします。
CRMシステムでは、日々のお客様情報を更新していきます。
そのため、過去にさかのぼって状態を見ることが難しいシステムとなっている場合が多いのです。
去年と今年の購入者の平均年齢を比較する場合、現時点の数値は今のデータから分析できますが、去年となると算出するのは多分、至難の業だと思います。
そのためにも、定期的に情報をストックしておきましょう。
システムが対応していなければ、EXCEL等で保存しておくのも有効だと思います。
EXCELを使用しても、簡単にこうしたグラフが作成できますので、視覚化して月例会議などでの発表項目にすると良いでしょう。
分析したい項目から、再度アンケートを見直してみましょう。
先ほど検討した、分析する値を検証し、収集する手段や、アンケート項目の見直しなどにも着手することができます。
来店客アンケートは、購入前のお客様から情報を得られる大切な機会となります。
しっかりと、収集する体制を整えることも必要ですが、アンケート内容についても分析の視点から考えてみてください。
店舗の雰囲気や、スタッフの対応、商品イメージ、認知度など、お客様が感じている印象などを聞くことで、社内スタッフではなかなか解らない情報を数値化することもできるようになります。
何を改善したいか・・・ をキーにするのも有効です。
もうひとつ、分析する値を選択する場合、「何が気になるのか」「何を改善したいのか」から値を決めるのも良い方法だと思います。
元気なイメージを感じてほしい、のように市場におけるイメージ訴求を図りたいのか。
もっと、若い年代に購入層を拡大したいのか。
販売地域の拡大なのか。
こうした数値の現時点の値を知り、継続的にWATCHすることで成果を図ることができるようになります。
CRMシステムを有効に活用する上でも、ぜひ、自社の分析ルールを確立してみてください。
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